総量規制が誕生した経緯は消費者の過度の借入があるから

総量規制により無理な借入ができなくなった
消費者金融から借入した借金は、銀行のそれよりも返済が大変です。
以前の消費者金融は今より高金利で、しかも高額融資をしていました。
これは借り手にとって嬉しいことですが、借りるほど返済で苦労するのは間違いありません。
借入総額が20万円と100万円では、求められる返済能力には5倍の差があります。
昔の消費者金融は過度の借入ができる仕組みであり、それにより300万円や500万円の借金を背負っている人がいたのです。
現在であれば医師クラスの高収入がなければ、数百万円の高額融資を受けるのは困難ですが、かつては一般的なサラリーマンが普通に高額融資を受けられました。
債務超過になる理由は至って簡単で、過度の借入をするからです。
総量規制という法律は、借入制限をするために誕生したものです。
■借入できる最高額は年収の3分の1
消費者金融から借りるとき、現在は年収の3分の1が最終的に借入できる上限です。
年収300万円なら100万円まで、年収600万円なら200万円が最高額になります。
実際の融資額は総量規制を上限とし、それより少なくなるのが普通です。
それゆえ年収600万円の収入証明を提示しても、実際は50万円しか貸してくれないようなケースが多々あります。
■銀行は総量規制の対象外
総量規制の適用となるのはノンバンク系の金融機関です。
簡単にいえば窓口業務を行っていない金融機関になります。
銀行の場合は融資業務のほかに、預金業務や為替業務などに対応しています。
融資以外にも展開しているので、ノンバンクには属さないのです。
ノンバンクは融資業務のみ対応しており、代表的なのは消費者金融です。
現在は少なくなりましたが、信販会社もノンバンク系に属します。
銀行や信用金庫などは総量規制の対象外になるので、カードローンやキャッシングなどであっても高額融資を受けられる可能性があります。
ただ現在は過度の融資には消極的な金融機関が多く、年収の2分の1を借りるのは相当に難しいと考えてください。
■グレーゾーン金利が黙認されていた時代
消費者を対象にして貸付するのが消費者金融です。
高金利で貸付することで有名であり、かつてはグレーゾーン金利を設定していました。
グレーゾーンとは利息制限法という合法金利を超える一方で、出資法未満に抑えられているので違法にはならない金利です。
当時のグレーゾーンは無効金利であり、消費者は支払うべき義務がない金利とみなされていましたが、消費者金融側は違法にならないという理由からグレーゾーンを設定していました。
それゆえ過去にはグレーゾーン金利の上限である29.2%で貸出する消費者金融が数多くあったわけです。
■グレーゾーンが廃止された経緯
総量規制の制定と同様に無理な借入を防ぐためです。
グレーゾーン金利時代の消費者金融は、消費者に対して積極的に融資をしていました。
多く融資すればするほど、利息というリターンが大きくなるためです。
100万円などの高額融資を受けてしまうと、利息が大きいこともあって元金がなかなか減りません。
それゆえ毎月返済していても、元金充当額に該当するのはごく少額であり、返済金の多くが利息で喰われるという状況でした。
自転車操業のような状況に陥っている状態なので、家計はすでに破綻しています。
当時は貸金業者の取り立てが厳しかったこともあり、命を絶ってしまう債務者は大勢いたのです。
こうした現状を打開するために、グレーゾーンの廃止が法律で制定されました。
昔から消費者金融を利用していた方なら、30%に迫るほどの高金利を見かけたことがあるでしょう。
現在は高くても20%に抑えられているはずですが、これは20%が利息制限法の上限だからです。